38.退院前日
ドレン管を切ってマカロニ状態にしてから、浸出液の量は激減した。
液を溜めるドレンパックがないので、ガーゼがびちゃびちゃになって腹帯やパジャマまで濡れることがあるんじゃないかと心配していたのだが、ガーゼがほんのぽっちり濡れる程度。
しかし、同じくマカロニ状態になったいぬさんは、毎日のように腹帯まで濡れるほど染み出していたから、ちょん切れば誰でも減るというものではないらしい。
数日後、Dr.コアラが「今日も出なかったら、明日はドレンを抜いちゃおう」と言った。
ほんと?
入院する時はいつになるかわからないと思っていた「退院」が、にわかに真実味を帯びてきた。
その日も浸出液は出なかったので、翌日にドレンを抜いた。
右ドレンを抜いた時は、管を取った瞬間にお腹の中からだらだらと液が出てきてびっくりしたけど、今回はなーんにも出てこなかった。
ラッキー!
今日はドレン跡の傷がふさがっていないのでダメだけど、明日はシャワーを浴びてみて、それで具合が悪くならなかったら夕方に内診し、明後日に退院というスケジュールになった。
翌日、約1ヶ月ぶりにシャワーを浴びた。
昨日抜いたドレンの跡は、もう閉じていた。
1ヶ月近く切れていた皮膚なのに、縫わないで閉じちゃうなんてほんと不思議。
身体がふやけてくると、お腹の傷のかさぶたが一部落ちた。
赤くケロイド状になってるところもあるけど、いつか白くなるんだろうか?
頭からシャワーをかぶり、洗えるところはごしごし洗った。
足の裏などは、垢がポロポロ落ちてびっくり。
私は「ばばっちい子」だったんだぁ!
夕方になり、内診の後、Dr.コアラとの面談があった。
内診は問題なし。
最近の腫瘍マーカーも問題なし。
私は翌日に退院することとなった。
次の検診は1ヶ月後。
退院できるとはいえ、しばらくはこの病院とのお付き合いが続くんだな。
それにしても…。
入院する時は、「もう帰れないかもしれない」なんて思っていたのに、私はちゃんと生きてる。
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