子宮がん・卵巣がん患者サイト「うさぎの本宅」

総合メニューへ サイト内検索 掲示板とゲストブック コンシェルジュ(サイト利用時のサポート) 携帯サイト・うさぎの本宅モバイル メールはこちらから |ぴょんぴょん |

ホーム> メニュー> ぴょんぴょんのがんになっちゃった!顛末記> 5.疑惑の日々

5.疑惑の日々

父が亡くなって5カ月後、12月初旬に出血が始まった。
少量だが、なかなか止まらない。
父の死後の片付けや各種手続きが残っていたこと、まとまった量の仕事が来たことに加え、師走の忙しさもあり、たいして気にも止めなかった。
だいたいの女性なら、ホルモンバランスの関係で不正出血を見た経験があるだろう。
私の場合も、父のことで精神的なショックを受け、ホルモンバランスを崩しても不思議ではなかった。

出血したり、止まったりを繰り返し、気が付いたら2月。
少し時間ができたこともあり、「何だか変だな。病院へ行ってみるか」と思い立った。

私は毎年秋に、人間ドックへ入っている。
去年の秋は、父の「ひとりノストラダムス」事件のお陰で行きそびれてしまったが、5月の末に子宮ガン検診は受けていた。
病院でやったので、頸ガンに加え、体ガンの検診もしてもらい、異状なしと言われていた。
まさかガンではないだろう。


近所で評判のいいホース産婦人科へ行くと、内診の後、超音波を撮ってくれた。
私は今までに何度か、自分の子宮の超音波画像を見たことがある。
子宮壁はいつも、つるんとした感じで映っていた。
ところが、今回Drが見せてくれた画像では、子宮壁に何かがくっ付いているように見える。
クラゲの傘みたいな、薄くてぷよぷよしたものに見えた。

「先生、これは何ですか?」

「血液の塊だと思います。これが全部出てしまえば出血も止まると思うのですが。何かの理由で少しずつ出ているから、出血が長引いたのでしょう」

「ガンじゃないでしょうね? もしそうだったら、はっきりそう言ってくださいよ」

「まさかぁ。ホルモンバランスの関係でしょう。飲み薬の止血剤を出しときます。全部飲み終わっても出血が止まらなかったら、また来てください」

私は、出血に関して、自分の考えとDrの考えが一致したので安心した。
飲み薬と、もしかしたら1、2本の注射が必要かもしれない。
でもそれで、すっかりよくなるだろう。


しかし、数日経って薬を飲み終わっても、出血は止まらなかった。
私は精神的にだいぶまいっているのだと考え、またホース産婦人科へ行った。

Drは、再び超音波を撮った。
クラゲのぷよぷよは健在だった。

「先生、まだありますね」

「うーん、ちょっとした手術で、これを取ってしまいましょう」

「えっ。手術ですか!」

「子宮の内膜を掻爬するだけです。普通だと痛いので、眠ってしまう麻酔をかけてやりますよ。すぐに終わります。午前中に手術して、午後には家へ帰れます」

私は手術日を予約した。1週間後の予約が取れた。


手術の日、ホース産婦人科へ行くと病室に案内され、着替えを渡された。
内装がピンク色で統一されたウォシュレット付き個室で、ベッドは電動式。
いたれりつくせりで非常に気に入った。

着替えてナースセンターに行くと、「あちらの部屋へ行ってください」とのこと。
指示された部屋のドアを開けると、ドラマなどで見るのと同じ無影灯があり、その下に手術台が置いてあるではないか。
なんと、そこは手術室なのだった。

ナースが「台に上ってください」というので、背の高い手術台によじ登った。
ストレッチャーで運ばれるんじゃないのか…。私は拍子抜けした。
点滴が入れられ、BGMがかけられ、オペを担当するDrが入って来た。
手術は、院長のDr.ホースがやってくれる。
ナースが私の顎を引き上げた。気道確保か。そろそろ始まるんだな…。

そして、気がついた時には、手術は終わっていた。
時間を尋ねたら、先ほどから30分しか経っていない。本当に簡単に終わってしまった。
痛みはなく、頭が少しぼうっとしているだけ。
目を閉じると、渦巻き模様のようなぐるぐるが見えた。


病室に戻る時は、さすがにストレッチャーに乗せてくれた。私はまだ、動いてはいけないのだった。

午前中は安静を言い渡され、午後、Dr.ホースから手術の説明を受けた。
Dr.ホースと私とは今日が初対面。
先ほど手術室で会ってはいるが、私にはDrの顔が見えなかったし、挨拶も交わしていない。
会ったうちには数えられないだろう。

診察室に入って行った瞬間、「?」と感じた。
うまく説明できないのだが、Dr.ホースが私を見て、ちょっと慌てたような、ぎょっとしたような感じに見えたのだ。
何なんだろう…?
しかし、その後は普通に会話が進み、手術で取ったものを念のため検査に回すので、1週間後、結果を聞きに来るように、と言われた。

その日は、夫が病院へ迎えに来てくれて、電車で帰った。
少しぼうっとはしていたが、歩けたし、食事もできた。


1週間後。
私はまた、Dr.ホースに会いに行った。

「検査の結果、出ましたよ」

「どうだったのですか?」

「いいものか悪いものか、よくわからない細胞があったので、念のため、もっと大きな病院で再検査を受けてください。紹介状を書きますから」

「どこの病院へ行けばいいのですか?」

Dr.ホースが初めに提案した病院に、私は行ったことがあった。
私の家から近く、地域の中核病院でもあったが、建物は汚くて、産婦人科は恐ろしい造りだった。
問診の部屋は大部屋で、四方に長テーブルがどーんと置かれ、あちらにDr、こちらに患者が座るという形式。
患者と患者の間には仕切りがなく、話はすべて筒抜けだった。

「あの病院はイヤです」

私は、Dr.ホースにだだをこねた。

「どこがいいのですか?」

「きれいな病院がいいです!」

「では、なぎさ病院がいいでしょう。建て直したばかりです」

なぎさ病院の名前は私も知っていた。
家からは小1時間かかるが、かなり有名な病院なので、間違いはないだろう。

「そこに紹介してください」

Dr.ホースは私に厳重に封をした紹介状を渡してくれた。ヘンなの…。
それから、私は質問した。

「先生、検査の結果、治療が必要になったら、こちらでやっていただけるのですか?」

投薬や注射という治療だったら、家から近いホース産婦人科でやってもらった方が通うのに楽だ。

「いいえ。なぎさ病院で診てもらったら、あちらでずっと受診することになります」

Dr.ホースの返事はつれなかった。ヘンなの…。


<<前へ 次へ>>
▲このページの先頭へ

[ホーム] [メニュー] [インフォメーション] [What's うさぎの本宅] [患者サイト活用ガイド] [サイト内検索] [子宮がんスタディノート] [検査体験] [受診お役立ちグッズ]
[ぴょんぴょんのがんになっちゃった!顛末記] [ぴょんぴょんのまぁこんなもんで書] [ぴょんぴょんがキャンサーサバイバーになるまで-ブログ-] [Your Voice]
[-みんなで投票-こんな時あんな時どうする?どうだった?] [掲示板とゲストブック] [ぴょんぴょん徒然草-エッセイ-] [患者の気持ち] [リンク集]
[お役立ちショッピングモール] [メディア履歴] [うさぎの本宅モバイル-携帯電話版-] [プロフィール] [FAQ よくある質問] [リンクについて] [メール] [コンシェルジュ]

Total visitor /Today pageview je-pu-pu 無料カウンタ /Yesterday pageview je-pu-pu 無料カウンタ アクセス解析

Copyright (C) 2000-2010 子宮癌・卵巣癌患者情報交換サイト「うさぎの本宅」 All rights reserved.