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ホーム> メニュー> ぴょんぴょんのがんになっちゃった!顛末記> 31.病理の結果

31.病理の結果

Drから病理の結果を聞ける日がやってきた。
お願いだから、いい結果を聞かせて!
早く安心させて!

今日は、何人かの患者さんに病理の結果が伝えられるらしい。
夕方5時半からが私、お姉さんの順番は私の何人か後とのこと。
私たちは朝からそわそわして、顔を合わせるとお互いに「いい話が聞けるといいよね〜」「二人とも面談が終わったら、その後で報告しあおうね!」と何回も言っていた。

今日を迎えるまで、痛い検査をした。
屈辱的ともいえる検査もした。
子宮は取った。
術後の痛みにもどうにか耐えた。
そして入院のために少なくない金額を払っている。
虫がいいと言われてしまうかもしれないけれど、でも「これだけやったんだから、そのご褒美として、『いい結果』をください!」というのが本音だった。
お姉さんも同じ気持ちだったと思う。


夕方、約束通り、仕事を早退した夫が来てくれた。
ちょっとしたいさかいはあったけれど、私たちは結婚しているのだから、私のことはあなたのことになる時もあるんです。
まぁ、時には我慢して付き合ってちょうだいな。

Drから指定された時間に夫と二人でナースステーションへ行くと、奥の面談室に案内された。
しばらく待たされた後、Dr.コアラだけが現われた。
そして、病理結果の説明が始まった。


まず、ポラロイド写真を見せられた。
ステンレスらしきトレーに、濃いピンク色をした肉の塊が置かれ、その脇に小さくて白っぽいものが点々と並べられている。

「これが、ぴょんぴょんさんから摘出した子宮や卵巣です。白くて小さいのは、郭清したリンパ節です」

へぇぇ、私の子宮や卵巣って、こんなだったんだ。
これを見られる機会はもうないだろうと思い、私は写真をじっくりと点検した。
きれいに洗ってあるのだろう、思ったほど気持ち悪くなかった。
こういうのがお腹に入っていたのか。へぇぇ。
写真には、大きさの基準を示すものが写り込んでいなかったのでよくわからないけど、私の子宮は、そんなに大きいものには見えなかった。

後で夫は、「ぴょんぴょんの手術直後に見せられた、取ったばかりの子宮現物は、もっときれいな色をしていた」と言っていたけど…。
それって、慰めですかい?

次に、Dr.コアラは、カルテから紙を抜き出した。
私の子宮の標本を調べた病理医のコメントなのだろう。
ちらっと見えた紙の文章は、すべて横文字で書かれているようだった。

「やはり、子宮の体部にガンがありました」

「はい」

そして、気の毒そうな表情を浮かべたDr.コアラが言った。

「内膜の腺ガンでした」

「はい」

なんでそんなに気の毒そうな顔をするの?
子宮体部のガンは、ほとんどが腺ガンじゃないの?


退院してからずいぶん経った今になって、Dr.コアラがなぜ気の毒そうな顔をしたのか、おぼろげながら想像がつくようになった。
まだ30歳代の私が、比較的高年齢者に発症が多いといわれる体ガンになったこと。
放射線治療できる扁平上皮ガンに比べ、腺ガンである体ガンは放射線の感受性が低いといわれていること。
また、施設や技師の問題で、体ガンの放射線治療ができる場所はそれほど多くない(らしい)こと。
だから、術後の治療は、なぎさ病院でやるなら抗ガン剤治療になるので、身体は一時かなりつらくなるだろうということ。
腺ガンは基本的にはエストロゲン禁忌なので、卵巣欠落症状が出た時の治療に制約があるということ。
Drの気の毒そうな表情の意味は、こんなところじゃないかなと思う。

私にとって、それらのことはすべて調査済み、説明済み、理解済み、納得済みのことなので、そんなに気の毒がってくれなくてもよかったんですけど…。
まぁ、Dr.コアラは患者の身になって考えてくれる「いい先生」ではあった。


「浸潤度合いから、ステージは○○期です」

「え…」

術前の予想ステージよりも進行している。ちょっとだけだけど。
さらに、確定したステージの中でも、その次のステージに近いと言われた。
例えるなら、皮一枚進めば次のステージだったんですって。
なんですと!!

「筋腫がいくつかありました。でもこれはみんな小さいので、あったとしても別にどうこうというものではありません」

そんなこと、今さらどうでもいいよ。もう子宮は取っちゃったんだもん。
それよりも、思っていたよりステージが進んでいたことが気になる。
すご〜く気になる!


「リンパ節は61個取りました。すべて調べましたが、転移は認められません」

は〜、ちょっとホッとした…。
でも何?
61個!

術後、夫に「リンパ節をいくつ取ったか、先生から聞いた?」と尋ねたことがある。
夫は、「ううん、聞かなかった。でも、モノを見せてもらったけど、そんなにいっぱいなかったよ」と言っていたのにぃ。
私はその話を鵜呑みにして、「取っても10個ぐらいかな」と勝手に考えていた。
でもな〜、ポラロイド写真に写っていたリンパは小さそうだったから、ぱっと見せられただけでは数を把握できなくても仕方ないか…。


「手術では、400cc出血しました」

頭の中に、計量カップが浮かんだ。
あれが2つ分かぁ。ずいぶん出ちゃったな…。
あ、違う。献血で抜く量と同じだ。出血、少なかったんだ…。

開腹して子宮と卵巣を取り、リンパも61個取って400ccの出血が多いのか少ないのか、本当のところはよくわからないけれど、私にはずいぶん少なく思えた。
Dr.パンダは術前に、「あなたには輸血の必要はないと思うので、自己貯血はしません」ときっぱり言い切っていたっけ。
Drには自信があったんだ。腕のいいDrだったんだなぁ。

そこへDr.パンダが入って来た。
私たち夫婦はDr.パンダに挨拶し、Dr.コアラが「途中まで説明していました」と言った。
そして、面談が再開された。


Dr.パンダがDr.コアラに聞いた。

「オペの腹水細胞診は?」

「2です」

「うん、よしよし」


何が「よしよし」なのかさっぱりわからなかったが、これはずっと後になって、体部そのものの浸潤が例えば1期でも、オペ時の腹水細胞診クラスが陽性だと、ステージは3a期がつくのだと知った。

Dr.コアラが言った。

「で、これからの後治療のことですが…」

来た来た!
私のガンは、予想ステージより実際のステージが進んでいた。
どうなるのだろう?
抗ガン剤治療するのだろうか?
「このステージより進んでいたら抗ガン剤治療する」というような決まりはあるのだろうか?
Dr.コアラの説明はこうだった。

ぴょんぴょんさんにはリンパ節転移がない。ステージなどの種々の状況から考えると、標準的治療では抗ガン剤治療は必要ないとされる部類に入る。
ただし、あなたの場合はステージ○○期と言ってもぎりぎりで、次のステージに近い。だから、あなたが希望するなら抗ガン剤治療してもいい。
どうしますか?

え〜、自分で決めろってか?
今まで見聞きした抗ガン剤治療のメリットとデメリットが頭の中をぐるぐると駆け巡った。

ガンには効くとされる。
一時とはいえ、正常な細胞を傷つけるので吐き気、脱毛、免疫力低下など、治療中の副作用にはかなりつらいものもある。
数ヶ月に渡る入院が必要になるかもしれない。
でも、それで病気が治るのなら、治療する価値は充分にあるだろう。
どうしよう、どうしよう…。
ガン保険に入っているから、治療費の心配だけはないけれど…。


夫が口を開いた。

「ぴょんぴょんは若くしてガンになったのだから、他の人よりもガンになりやすい体質なのかもしれない。身体の他の部分にも、将来、ガン化する可能性のある細胞がもうあるかもしれない。抗ガン剤治療したら、そういう細胞は殺せるんじゃない? 目に見えない体ガンの転移があったとしても叩けるわけだし…」

うんうん、それは言えるのかも〜。あなたも時々はいいこと言うわぁ。
今日、やっぱり来てもらってよかった!
私の心は、抗ガン剤治療を受ける方に傾いた。

しかし、Dr.パンダは私たちが驚くべきことを教えてくれた。

身体の中にもしも今、体ガンの細胞が残っていて、さらに他の原発ガンがあったとすると、今回の抗ガン剤治療で叩けるのは体ガンの部分だけです。
抗ガン剤には、いろいろな種類がある。
体ガンには体ガン用、肺ガンには肺ガン用と薬が違う。
だから、体ガン用の抗ガン剤は、原発の他のガンには効果がありません。
それから、もし体ガンが肺に転移したら、その時は体ガン用の抗ガン剤で治療するんですよ。

私たち夫婦は勉強不足だった。
身体のどこのガンでも、同じ抗ガン剤で治療すると思っていたのだ。
一つの薬で発熱、頭痛、歯痛、生理痛に効く解熱鎮痛剤と、抗ガン剤は違うのね…。
Dr.パンダはさらに続けた。

「抗ガン剤治療することによって、他の部分にガンができることがあります」

え〜、何なの、それは!?
Dr.コアラが驚いたように「先生、それは違う。ちょっと待って。その説明はまずい!」と口をはさんだ。
先生たち、仲いいんだか悪いんだかわかんない。

Dr.コアラの説明によれば、「抗ガン剤は正常な細胞も傷つける。普通はガン細胞だけ死滅して、傷ついた正常細胞はいずれ回復する。ただし、細胞が生まれ変わるわけだから、まれに異常な細胞となって、それがガン化するかもしれないのは否定しきれないということです。いつもガンになるとか、絶対にガンになるというわけではありません」とのことだった。

なんだ、そういうことか。それなら理解できる。
それって、健康な人の細胞の営みでも起こることじゃない。
私の体ガンだって、初めはそうやって発生したはず。
今回の私のように、異常な細胞が進行してガンになることがあるけど、ガン化しないで正常な細胞に戻っちゃうこともある。
そういうことでしょう?
抗ガン剤治療すると他の部分のガンにかかる確率がすごく高くなってしまうって、勘違いをするところだった。
Dr.コアラが慌てて口をはさんだのも無理はない。


とにかく、これで抗ガン剤治療のメリットとデメリットは把握できたと思う。
やるとしたら、約1週間入院して抗ガン剤治療し、3週間は家で過ごす。それが1クールで、6クールやることになると思うと言われた。6ヶ月か…。
治療するかしないか、すぐには決められなかった。

「数日、考えさせてください」と私は言った。


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