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14.術後3日目

食事も飲水もまだ許可してもらえない。
人工呼吸器による喉の痛みはなくなった。

相変わらず、空腹感も喉の渇きも感じないが、私は、栄養補給のために24時間入れられている点滴を早く抜いてもらいたかった。
点滴はいろいろと考え、身体にいいように作られているとは思うが、経口摂取には劣るだろうというのが私の考えだった。
点滴は、何らかの理由で食べられない時の手段であり、それに頼りきりになるつもりはなかった。
また、薬だから、他人の点滴と取り違えられる可能性はある。
医療ミスから身を守るためにも、使われる薬は少ないに越したことはない。

朝の回診時、Dr.パンダに申し出てみた。

「お水飲んじゃダメですか? ご飯は、いつから食べられますか?」

「ご飯はまだ。お水は、今日の様子が良ければ明日からにしましょう」

やった〜!


その日、私は意を決して立ち上がった。
病室は、手術日でバタバタしていたこともあり、寝ていても落ち着かない。
健康だった頃、「術後は確かに痛いが、動くことが早期回復につながる」という話を聞いたことがあった。
動くことは癒着や腸閉塞の予防にもなる。
親のいない私には、退院後、「実家で静養」という選択肢がない。
最低限自分のことだけはできるようになって退院するか、棺桶に入って病院から出るかのどちらかしかないと思った。
幸い、手術はうまく行き、棺桶入りは免れた。
病院にいるのだから、動いて何かあっても、すぐに対処してもらえるだろう。
そこで私は、点滴台を杖代わりに、廊下を歩いてみた。

痛かったっス。(ToT)

試行錯誤の末、ラマーズ法の呼吸を思いついた。
出産の痛みが軽くなるという話だから、術後の痛みも軽くなるんじゃないかという安易な考えだったが、これが意外とよかった。
「ヒッヒッフー」と言いながら歩くとリズムが取れ、痛みが少なくなるような気がした。

人から見たら幽鬼のような姿だったかもしれない。
現に、手術前の「とりあえず元気」な患者さんの中には、面白がるような視線を送ってくる人もいた。
「あの人、ちょっと…。変わってるよね」というささやきも聞こえた。

ふふん。
そう言えるのは今のうちなんだからね。
「あなたが私と同じ状態になった時、私と同じことができたらたいしたもんだわ。あなたが術後3日目の時に私を呼んで、歩くところ見せてよね」などと半分やけっぱちの気分も入り、せっせと廊下を往復した。


この分なら、別の階にあるランドリーへも行けそうだ。
病院内なのだから、何かあってもすぐに助けてもらえるだろう。
そう考えて、その日の午後、私は洗濯物の袋を点滴台に引っかけ、ランドリーへ行った。
洗濯機を回すと病室に戻って休み、止まった頃にまた行って乾燥機に入れ替えて回し、また病室に戻って休み、乾いた頃取りに行ったので、都合3回の往復になった。
終わった時にはさすがにクタクタになったが、とりあえず自分の洗濯物は自分でどうにかできることがわかり、ほっとした。

乾いた洗濯物を持ってエレベーターに乗り、病室のある階で降りてエレベーターホールを歩いていると、ナースに声をかけられた。

「ぴょんぴょんさん、これからエレベーターに乗るの? 何かあると困るから、歩き回るのは、この階の中だけにしてね」

「えっ! もう、ランドリーに行って来ちゃった…」

「まだダメですよ!」

「はい、わかりました」

他の階に行っちゃいけないとは知らなかった…。
自分自身では動いても大丈夫そうだと思ったが、病院に余計な迷惑をかけるわけにはいかない。
次にDr.パンダかDr.コアラに会った時、許可をもらった方がよさそうだ。


午前中の歩行訓練と、午後の洗濯行軍でさすがにくたびれ果てた。
病室の堅い「拷問ベッド」は、どうも座り心地や寝心地が悪い。
デイルームにあるふかふかの椅子でじっくりと休もうと思い、最後の気力をふり絞って歩いた。
目指した椅子に落ち着き、ノビていると、姑がお見舞いに来てくれた。
姑は、術後3日目の私を病室のベッド以外の場所で見つけ、仰天したようだ。

「ぴょんぴょん、もう動けるの!?」

「はい!」

「まだ寝たきりの状態なんだと思っていたわ」

「昨日から動いてるんです。やっぱり、まだ痛いことは痛いんですけどね。今日は、お洗濯もして来ちゃった。えへっ」

「ええっ!!」

話しているうちに、姑の目に涙が浮かび、目の縁からこぼれ落ちた。
私は実の家族には恵まれなかったが、嫁ぎ先の家族はいい人たちばかりだった。
早くよくなって安心させてあげたいなと、つくづく思った。
デイルームに座って1時間ばかり話していると、腰が痛くなって来た。
まだ、無理はできないみたいだ。


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