子宮がんの状態を表す言葉、意味をごっちゃにしていませんか?
子宮がん検診の結果を見て心配になった方や、子宮がんで治療した患者さんの中には、ありえない単位を使ってご自分の検査結果や病状を説明する方がいらっしゃいます。
話の前後の脈絡から、何と何を取り違えていらっしゃるのか想像がつくこともあるのですが、ご自身はおわかりになっていないので、書籍やインターネットで自分には当てはまらない記述を見て、肝を冷やしている方も多いんじゃないかと思います。
血液検査の結果は別として、ドクターが患者に対し、「あなたのがん検診の結果はこうです」「あなたのがんの状態はこうでした」と説明する時によく使われる横文字は、クラス、ステージ、グレードの3つであることが多いです。
そして、細胞診クラス、ステージ、グレードは、それぞれまったくの別物です。
細胞診クラス
細胞診クラスの結果は、「クラス1〜5」または、「陰性、偽陽性、陽性」で伝えられます。
細胞診クラスに「クラス0」はなく、正常な状態でもクラス1かクラス2はつきます。
子宮がんの細胞診は、がんかそうではないかを確定する検査ではありませんので、「細胞診クラスが3より上だったら、がん」「陽性だったら、がん」という意味にはなりません。
また、細胞診の結果にステージという言葉は使われません。
がんのステージ(病期)
がんが身体のどこまで広がっていたかを表すステージは、病期とも言われ、0〜4まであります。
ステージと病期は、円と¥のように同じ意味なので、ステージ1A→病期1A→1A期、ステージ1B→病期1B→1B期……のように言い換えることができます。
時々、「がんではありませんでした」の意味で、「ステージ0でした」とおっしゃる方がいらっしゃいますが、これは大きな間違いです。
ステージはがんが身体のどこまで広がっていたかを表すものですので、自分の状態にステージという言葉を使ったとたん、「がんがありました」という意味になってしまいます。
ステージ0は、がんはあるけれど身体の中に広がっていない、いわゆる初期がんを指します。
がんではなかった方は、ご自身のステージに言及してはいけません。
なお、子宮内膜症にも状態を分類するためのステージがありますが、がんのステージと子宮内膜症のステージは、まったく別のもの、別の意味となりますのでご注意ください。
グレード(組織分化度・分化度)
子宮体部がんの組織分化度を表すグレードはG1〜G3まであり、G1は高分化がん、G2は中分化がん、G3は未分化がんと言い換えることができます。
G3で「私は低分化がん」と言ってらっしゃる方もいましたが、この言い方は意味がわかるので、私は気にしません。
こういう間違いが多い!
「ドクターに3と言われました」という発言は、ぶっちゃけとっても困ります。
なぜなら、細胞診クラスにも、ステージにも、グレードにも、3はありますので。
そして、それぞれ意味がまったく違いますので。
健康診断などでやった子宮がん検診の結果で3と言われたら、ほぼ頸部細胞診クラスで間違いないんですが、ご自身はステージ3の生存率などを見てうるうるしてること、すごくよくあるんです。
ですから、検査の結果などは、何の検査なのか、結果の名称等、しっかり確認してくださいね。
こんな言葉は、ありえない!
細胞診の結果や、子宮がんの状態を表す言葉や単位に「レベル」や「プラス」「モード」「ポイント」は使われません。
「子宮がんレベル3なんです」「モード4です」「ポイント2です」などとおっしゃる方がいますが、激しく意味不明です。
細胞診の「クラス」を「プラス」と聞き違えている方もいらっしゃいます。
「細胞診プラス3でした」と発言したり書いたりしている場合は、間違いながらも、「クラスをプラスと聞き間違えたんだろうなぁ」とどうにか意味は汲み取れるのですが、「子宮がんの検査をしたらプラスでした」的な発言になると、細胞診のことを指しているのか、腫瘍マーカーなど別の検査結果のことを言っているのか、もうわかりません。
血液検査や尿検査の項目には、結果を-、+、2+、3+のように表すものもあるんです。
「ステージ5です」「グレード5です」もカンベンしてください。
ステージは4まで、子宮体部がんのグレードは3までしかありません。
細胞診クラス0もありません。
医学的な知識を持ったどなたかに質問する機会があったとしても、自分で調べる時でも、正確な検査名と結果の両方を把握しておかないと、正しい答えには行きつけません。
正確なところのご確認を。
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