子宮体部がんの病期(ステージ)、実は2つあります
まずはじめに、ここにも書いておきますが、病期(ステージ)と細胞診クラスは別モノです!
子宮がんには、「子宮体癌取扱い規約」「子宮頸癌取扱い規約」というものがあり、ステージ決定の方法が決められています。
子宮体部がんのステージには、実は「臨床進行期分類」と「手術進行期分類」の2つがあり、体部がんで手術した場合は「手術進行期分類」によるステージが採用されます。
黄体ホルモン治療などを使って子宮を温存しながらがん治療している患者さんには「臨床進行期分類」によるステージが使われます。
進行期分類が2つあるというのは、一般にはあまり知られていないかもしれません。
今まで体部がんの治療は子宮摘出が多かったので、手術しない場合に使われる「臨床進行期分類」について言及しても、あまり意味がなかったのだと思います。
「子宮体がんのステージ」というタイトルで載せられているステージ分類を見ると、そのほとんどは「手術進行期分類」です。
一方、頸部がんは臨床進行期分類のみで、「分類期は治療前に行ない、以後はこれを変更してはならない」などの決まりがあります
このあたりが、体部がんと頸部がんのステージング時期の大きな違いです。
つまり、体部がんで「手術する」と決まっている場合は、手術で摘出したものを病理検査してからステージを決定するため、術前にはステージが確定しません。
手術しないとステージが確定しないというのは「開けてみないとわからない」という意味ではありませんので、悲観しないでください。
体部がんは術前にステージがまったくわからない、ということではありません。
厳密に言うと、術前の患者さんは「臨床進行期分類」によるステージングがされているはずです。
そうでないと、どういう治療をするかや術式などが決められません。
でも、手術するのですから「臨床進行期分類」のステージは、最終的に確定したステージではなく、Dr側は「確定でもないステージを言っても…」と積極的に教えてくれないような気がします。
術前にこちらからステージを聞くと「たぶん○○期ぐらいです」と教えてくれたりしますが、それは確定ステージではなく、「臨床進行期分類」によるステージです。
なお、「手術してみたら術前に予想されたステージと大きく違っていた! ずっと進行していました」という話は、わたくしはほとんど聞いたことがありません。
時折、「体部がんでもうすぐ手術するのですが、主治医がステージを教えてくれません」とDrへの不信感を訴える患者さんがいらっしゃいますが、手術するのであれば「手術進行期分類」が適応されるため、手術前にはDr自身にも確定ステージはまだわからないということです。
「手術進行期分類」も「臨床進行期分類」も同じような数字が並んでいますが、「手術進行期分類」には0期がなく、アルファベットは大文字を使います。
●体部がんの手術進行期分類
(手術した場合に使われるステージ分類です)
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国立がんセンターHP/FIGO 1988
●体部がんの臨床進行期分類
(術前や、手術せずに治療する場合に使われるステージ分類です)
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子宮体癌取扱い規約 1996
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