癌治療は「3J」がキーワード 〜6th Anniversary〜
3Jは、情報、時間、自分の頭一文字からつけました。
●情報
試しにちょっと検索してみると納得いただけると思いますが、癌の治療情報はインターネット上でたくさん入手できます。
本屋さんに行けば、癌治療に関する本がずらっと並んでいます。
そう、今の時代、情報はあふれているんです。
最新の情報があります。
書き手の勘違いによる、結果的に正しくない情報もあります。
故意に捏造された情報もあります。
治療法ひとつ取っても、メリットとデメリットがありますが、デメリットに言及せず、メリットだけを盛大に紹介している情報もあります。
どの情報が正しいのか、どの情報が自分にとってのベストなのか、きちんと見極められる目が必要です。
●時間
初発、初期癌だと今日明日に治療をはじめなければ命にかかわるという状態は稀ですから、「手術が決まったけど1ヶ月待ちなんです。そんなんで大丈夫でしょうか?」という心配は無用です。
多くの患者さんがそのくらい待たされています。
Dr側も、緊急性があると見たら無理やり時間を作ってでも手術してくれるようですし。
わたくしがここで言いたかった「時間」は、病院を受診したり、治療方針を決めるまでの時間です。
癌確定で、しかもDrが何らかの治療を勧めている病状なのに、「癌じゃない」という診断を求めてセカンドオピニオンを受けまくる方や、気になる症状があるのに「受診の結果、癌だと言われるのが怖い」「婦人科を受診するのがいや」と受診を延ばし延ばしにしている方を見ると、他人事ながら「あっちゃ〜」と心配になります。
生きていたいなら、受診するまでにあまり時間をかけないことです。
気になる→病院直行でもいいくらいだと思いますよ。
病気かそうでないか、治療が必要かそうでないかをジャッジするのはDrです。
時間をかけて自分で考えても、病気の診断は出ちゃくれないのです。
誤診ではないのか、別の治療法はないのかなどを模索してセカンドオピニオンを受けるとしても、わたくし的には、初診の病院を含めてせいぜい3軒の病院巡りが限度だと思います。
●自分
癌治療が終了して一定の期間が経ち、再発や転移が認められなければ、その癌は治ったと見なされます。
もう「癌患者」ではなくなるのです。
けれど、癌経験者(キャンサー・サバイバー)であるという事実は、一生消えることがありません。
わたくしに日本人の平均寿命が当てはまるとすればあと40年以上は生きるわけで、その間はずっとキャンサー・サバイバーです。
そう考えると癌患者である期間はけっこう短く、治ってからの期間の方が長いんだなとしみじみ思います。
癌になると失うものがあるし、できなくなる事柄があります。
自分自身はキャンサー・サバイバーであることを忘れていても、周囲から思い出させられる場面もあります。
わたくしは先日、コレステロール値の薬の治験に参加しようとしましたが、癌経験者であるという理由で断られました。
癌になったことで得るものもありますが、同年代の人が普通にしていることが自分にはできない時、なんだかな〜という気持ちになることはあるかもしれません。
癌経験者という事実は一生ついて回るわけで、取り戻した人生をどう考えて生きるかはまさに自分次第なのでしょう。
「なんだかな〜」と思うのも自分の心。
「このくらい、へっ!」と思うのも自分の心。
「治った」というDrのお墨付きを信じられるのも自分の心。
「こんなに不幸なのは私だけ」と思うのも自分の心。
癌治療やキャンサー・サバイバー生活は、結局のところ、自分の心との闘いになってくると思います。
「頑張って」という励ましは時に重荷になることがあり、わたくし自身は言われるのも言うのも好きではありませんので、ここでも「頑張って!」「頑張ろう!」とは申しませんし、わたくしのような者が以下のようなことを書くのは僭越で無責任かなぁとも思うのですが、とくに、癌治療の終わった患者さん方にエールとして受け取っていただけると幸いです。
自分の弱さに負けないでね!
〜6th Anniversary〜(完)
2006年5月19日 記
2006年9月15日 改定
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