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がん患者像

前々から、ある有名な方が体がんで治療中という話は聞いていたけれど、テレビも週刊誌も見ないわたくしは、お顔も経過も存じ上げていませんでした。
たまたま先日の夜、テレビに出ているのを見て「この人がそうなのか」と知り、その治療経過もある程度把握できた。
って言っても途中から見たので、よくわからない部分もあったんだけど。

「ああ、そうだよね〜」と思うところもあったし、こんなこと書くのは僭越だけど「大変だろうな」と思うところもあった。
また、私とは違う考えの部分もあったし、不思議でたまらないところもあった。

不思議トップワン。
抗がん剤治療中なので感染症を警戒して人ごみを避け、温泉地で療養中ってことだったけれど、観覧者いっぱいのスタジオに来て、マスクもしていなかったのはなぜ?
何か説明とかあったのかな。
わたくし、見逃しちゃったみたい?

ぴょんぴょん的に非常に気に入らなかった点は、タイトルなどに「がんと闘う」って言葉がちりばめられていたとこ。
これ、本人の意向なのか局の意向なのかわからないけれど、少なくとも私は、がんと闘っていない。
だからって逃げているわけでもない。
そういう考えでがん患者やっていないだけ。

けれどやっぱり、健康な人の中には

「がん = 死」
「がん = 闘う」
「がん患者= 闘病、壮絶、悲壮、かわいそう」

みたいなイメージがまだ根強くて、なんだかな〜。
このイメージを払拭するのはなかなか大変で、わたくし自身は、自分の近しい人にすら説明しきれていない。
がんになった有名人たちの「頑張って闘病します!」的なスタイルをテレビで見ちゃった周囲の者から、

「あの人はあんなに頑張って前向きなのに、ぴょんぴょんは死ぬことばっかり考えている」

と言われたことがある。

言った人に対しては…。
軽蔑 & 爆笑。
アホらしくて反論する気にもなれなかった。

あとねぇ、テレビなどで、有名人のがん患者に対して「闘っててエライ」とか「見て勇気づけられた」というコメントを振りまかれると、そのように振舞わなくちゃならないのかって考える普通人患者もいるんで、本当は辛くても「辛い」と言えなくなってしまうんじゃないかと危惧してる。
周囲の賞賛や、励ましている「つもり」の言動が、実は患者を密かに追い込んでたりするのです。

がんを告知された人にもいろいろなタイプがある。
もちろん、がんを「敵」と位置付け、「死んだら負け」と公言し、とことん闘う人もいる。
それはそれでいいんじゃないかと思う。人それぞれだもん。

逆に、本当の初期がんでオペすればほぼ確実に治るという段階で発見されたのに、告知したら「自分はがんになったら治療しないと決めていたので」とオペを拒否して医師を仰天させ、周囲のどんな説得にも耳を貸さず、がん治療に関しては本当に何もしないで死を選んだ人の話を聞いたことがある。
「闘う派」から見たら敵前逃亡バリバリの行為だろうけれど、本人は逃げたわけじゃないと思うのよね。自分の信念貫いただけでしょ。

とまぁ、ひと口に「がん患者」と言ってもいろいろなので、「がん患者像」「体がん患者像」を一つの枠にはめて作らないでいただきたいんですけどぉ。

体がん患者本人であるわたくしですら、「すべての体がん患者がこうです」って言い切れることはそれほど多くないし、「私の場合には」と前置きしたりして誤解のないように気を遣っているんで、お願いしますよ〜。

がんのステレオタイプには、「はぁ?」っていうのが他にもいろいろと…。

質問サイトへ「出血がある。子宮がんでしょうか?」と書き込んだ人がいて、その返事として「気になるなら病院へ行ったほうがいいですよ」という答えと共にうさぎの本宅のリンク集URLが書いてあったのを見たことがある。
管理者のわたくしとしては、リンク集のURLが一人歩きするのは好まないけれど、患者さんの役に立つのならと、その時は目をつぶった。

その後、質問者がお礼の投稿をしていて、そこには「ありがとう、すぐに病院へ行ってみます。紹介していただいたサイトを見ていたら怖くなっちゃいました」だと。
いろいろな意味で「ふざけんな、このどアホ!」と思いましたね。

何が「怖い」んだかよくわかんないけど、私も他の患者サイト管理者も、他人を怖がらせるために病気になったわけじゃない。
そして私は、怖いサイトを開いてるつもりもないんですっ!

2003年9月22日 記


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